つばさクリニック スタッフのまなさん
倉敷中央病院 教育研修部
岩根 康祐

 1か月間、在宅医療に同行し学ばせていただき、大変ありがとうございます。
 病院では見る機会が少ない、今まで考えていなかった医療の面を知ることが出来ました。患者さんのさまざまな環境で、場面や状況に応じたサービスが整えられ、家にいることで体調が落ち着いている患者を見ると、こちらも嬉しい気持ちになりました。患者さんの中には、病状の重い方々もいましたが、私の見てきた入院患者より気持ちが落ち着かれている患者さんが多い事に印象を受けました。今まで急性期病院の入院患者ばかり見ていたので当然と言えば当然ですが、自宅にいたいという希望がかなえられ、体は辛いけれどもなんとか折り合いをつけて自宅で生活したいと考えているからだと思います。

 また、いわゆる「老衰」のような、自然に元気がなくなり旅立たれる方にも何人かお会いしました。お身体がお休みに向かわれる方々は、最初は身のおきどころのないだるさ、しんどさを訴えられ、徐々に食事量が減り、血圧・尿量が低下し、息が苦しくなっていきます。こういった症状は病院に通院しても改善することが少ないので、むしろ苦しさをとっていくことが本人に必要です。このような場合、状況によってはジアゼパムを使ったり、ミダゾラムで鎮静を行ったりする事が有用であることも知りました。
 
 その他で、印象に残っているのが、患者さんのお身体がお休みに近づいたときに、中村先生は家族に言葉を選びながらこれから起きること、してあげられることを繰り返し説明されていた事です。時にはどうしても病院受診を希望される方もいるようですが、自宅でお看取りをした家族は、病院でぎりぎりまで強力な治療を受けながら亡くなっていった患者の家族と比べると、別れを受け入れる時間がとれて、また患者さん本人のためにどうすればよいかということも考えることができ、臨終の時に受け止めがしっかりしているように感じました。

 介護サービスや施設についても、今まであまり考えずに過ごしてきましたが、患者さんの生活を考える上では、医師にとって知識は不可欠であるとわかりました。病院で亡くなる方の割合が減少していくことが予想されますし、制度や問題点について引き続き勉強していきたいと考えています。

 8月からはまた病院での仕事に戻りますが、患者さんには在宅医療という選択肢があるということをお話ししながら、患者さんとそのご家族にとって一番良い過ごし方を考えていこうと思います。中村先生やつばさクリニックの皆さんとは、またお会いすることがあるかと思いますが、何卒よろしくお願いいたします。今年度は倉敷中央病院から研修医があと2人参ります。2人とも一生懸命な研修医ですので、ご指導の程よろしくお願いいたします。

 最後になりましたが、院長中村先生、事務長上畑さんをはじめ、先生方、看護師さん、事務さん、ドライバーさんには、お忙しい中大変お世話になりました。今後もつばさクリニックのますますのご発展を期待しております。1か月間ご指導いただきありがとうございました。